ブラック・プロパガンダ

ブラック・プロパガンダ


 ◇情報公開されたアメリカ側資料を駆使し、第二次大戦下での日米の宣伝、諜報、謀略の真相を解明する
岩波書店  山本 武利     早稲田教員

ブラックホワイトプロガンダ(米大戦期OWI戦時情報局)&
ブラックプロパガンダ(米大戦期OSS戦略諜報局)
    

OSS諜報機関であるため、諜報部門と戦略工作部門とに大別され、、、組織的には、戦略工作部門→MOモラル工作隊→プロパガンダ部門。

<MOモラル工作隊の目的>

敵国の内部で内紛、分裂、混乱を扇動し、拡大させる
敵の協力者の信用を落とし、敵支配地区の住民、官民の抵抗意識を喚起し、抵抗を高揚させ、反乱を起こさせる
敵支配地区での上記目的の手助け
敵の武装勢力の内部での士気の低下と反乱の奨励
他のOSS部門(特殊工作隊、秘密諜報部の手助け)
具体的な手段
秘密自由放送局
実際には、連合国が行っているが、敵国のレジスタンス集団が行っているように仮装したもの
偽造文書
偽造ビラ
連合国の公的な関与とは見分けがつかなようにする

<新国民放送局>

昭和19年6月サイパンが陥落すると,米軍は翌年4月から日本全土に向けて,日本国内の反軍勢力を装った謀略放送を開始した.日系人が担ったこの放送「新国民放送局」は終戦の2日前まで計110日間に及んだ.アメリカの情報公開法により扉が開かれた一次資料を駆使して,思想戦・宣伝戦といわれる第2次世界大戦の影の部分に今初めて光が当てられる.

①日本の敗戦は不可避である
②軍部を打倒するのは、愛国的な日本人の努め
 そして、十分な尽力、資源を残し、速やかに降伏し
 新しい民主日本の形成を
共産主義の主張、ロシアを刺激する内容はつくらない


放送内容例としては
①延安レポート、野坂参三日本兵捕虜。、手紙、日記など実情の放送。
②ドイツ降伏、沖縄戦etc。
従軍慰安婦の登場
前線への輸送船で
慰安所で働くということ」
「私は、看護の経験や知識がないのに看護婦になりました」
「つい昨日、兵士や船員がわたしたちをニヤニヤ見てながら、売春婦だと話していましたが、、、どうか、本当のことを教えてください」
そこで、率直、かつ詳細に慰安婦について志っていることを洗いざらい話した、、、
④前線遺棄兵士の手記、妻から夫への手紙

また、中国戦線では、中国語のブラック・ラジオが
コロンビアプロジェクト
チャーリ作戦(広東向け広東語)
ウィリアム作戦(武漢向け)
ハーミット作戦(南京向け)

企画されたものとしては、
鹿地亘(日本人民反戦同盟、重慶在)との接触による日本語放送
しかし、敗戦で実現せず。以下、かれへの接触
1941イギリス在華大使
1943OSSファース准将
1944アメリ国務省書記

また、、野坂参三を利用した、延安からの日本語放送も企画。
アップルプロジェクト」も企画された。1945・6OSS将校「延安」へ。


大日本帝国のブラック・プロパガンダとしては、占領前後のオランダ領ジャワ(インドネシア)でのラジオ放送が有名。中野学校関連で読んだ記憶がある。